「間取り図から想像し、癒されていた」
写真家・ライターの大山顕さんに、ちょっとおもしろい撮り方で、無垢床リノベーション「TOMOS」のお部屋と住んでいる人の「平面図」を撮ってもらうシリーズ。
今回は、今年の4月に上京、建築系の書籍を扱う会社にお勤めの、楠田さんのお部屋を訪問。
大山さん、趣味が近いせいで「もしかしてここ、ぼくの部屋だったかもしれない」なんて言っちゃってます。
text & photo : Ken OHYAMA
不思議な感じがした部屋
すてきな楠田さんとすごく良い感じの部屋。そして、お話を聞いているうちに不思議な感じがしてきたのです。
今回おじゃました部屋は、なんだか懐かしかった。いや、懐かしいというのはちょっと違うかな。親近感? 居心地が良い? とにかく不思議な感じ。なんだか他人の部屋のような気がしなかった。
部屋のあるじは、楠田さん。すてきな女性。すぐに打ち解けた(とぼくは思っている)。
最初は、楠田さんのこのすてきさが部屋の雰囲気を居心地よくしているのかな、と思った。しかしそうではなかった。あ、いや、もちろんそれもあるんだけど、もっと別のところに原因があった。
「旅行先で見つけて気に入って買ってきました」というクッションカバーたち。かわいい。そして仕切りの布が印象的。
部屋に入ってまず印象的だったのは、仕切りの布だ。平面図写真の右側キッチンと、左の居室との間は布で仕切られている。
また、収納スペースも扉ではなくレースで隠されている。全体的に部屋がふんわりした雰囲気になっていて、とても良い感じだった。
壁を掘り込んだ風の棚。そこに収まっている本が、どれもおもしろそう。そしてけっこうぼくも持ってるものが多いぞ!
棚には Lloyd’s of London の写真ハガキが! いいですよねー、この建築とこのエスカレーター!
次に目を引いたのは本棚。そこには Lloyd’s of London の写真ハガキが!
リチャード・ロジャース設計の配管などが外側にむき出しになっているデザインのビル。ぼくのような「工場萌え」の人間にはたまらないビル。
そしていつも取材同行している編集の田村さんはご存じエスカレーター観賞愛好家。ふたりして「あっ!」って言っちゃった。楠田さん、ぼくらの仲間だ! って思った。
そして収まっている書籍のタイトルを見ると、ぼくの本棚とかなり似ている。建築評論やアートブック、建築系雑誌などなど。
それもそのはず楠田さんのお勤め先は建築系出版社なのだ。なんと! お世話になってます。
建築の勉強して、かつ現在出版社にお勤めという方がこの本の量で済んでいるのはすごい。すっきり。
窓側に置かれた棚に置かれたものたちにもすごく興味を引かれる。
間取り図に「癒される」
さて、「実は一度大山さんにはお会いしてるんです」と楠田さんがおっしゃったのにびっくり。
きけば、ある大学の都市・建築デザイン学講座に在籍しておられたとのこと。おお、ぼくいちど講演にうかがいましたね。そのとき聴講してくださっていたのですか!
と、まさかのご縁におどろきつつお話を聞くと、楠田さんが卒業して就職したのは今年の4月。つまり、この部屋は上京・就職の部屋というわけだ。
「卒業したら東京に住むことを決めていたので、学生時代はなるべくものを増やさないようにしてました」という。たしかに、決して広い部屋ではないがすっきりとしている。
えらいなあ。ぼく自身は結婚するまで実家にいてひとり暮らしをしたことがないので「引越を前提に物の量を管理」ってしたことがない。
そのあげくが現在のぼくの部屋のていたらくだ。物だらけ。反省。
「東京でどこに住もう? と部屋検索して、いろいろ見て癒されてました」という楠田さん。
間取り図など物件情報見て、あれこれ新生活の想像して「癒され」ちゃうっていうの、楠田さんらしいなあ、と思った。会ったばかりですが。
この部屋に決めたポイントは「キッチンがちゃんとしていること」だったそうだ。いわゆるワンルームだとおざなりになりがちなキッチンだが、確かにここのはちゃんとしている。
「毎日お弁当作ってます。疲れてても『ちゃんと作ろう』と思えるキッチンが必要、と決めていました」とのこと。すばらしい。唯一の不満点は「グリルがないことですかね」。
この部屋を選んだ際のポイントだったというキッチン。たしかにTOMOSのこのキッチンいいですよねー。
玄関にある靴箱の上のものたちもすごく気になった。特にエドワード・ゴーリーの衝撃作「おぞましい二人」が!
これを玄関に置くのなんかちょっと分かる気がする。
「パン・パーティー」たのしそう
居室の方に、しかも椅子の上に置かれたトースター。
じゃあこのトースターはその代わりに? と一瞬思ったけど、でもこれで魚焼いたりしないですよねふつう。
それにしてもなぜ椅子の上に? と訊ねたら「学生時代はテーブルと椅子の生活だったんですけど、ここへきてから床座になったので椅子が余っちゃって」とのこと。
そしてトースターは「友達とときどきパン・パーティーをやるんです」と。パン・パーティーとな!
パン・パーティーとは、おいしいパンをいろいろ持ち寄って食べる、というその名の通りの集まりだそうだ。いいな、それ。ぼくも参加したい。
そのパーティーのときは、テーブルを組み立てて実施するそうだ。「もともとキャンプ用のテーブル脚で、天板は別なんですけど」
組み立て完了するとこうなる。そしてここでパン・パーティーが執り行われる。
いいなー、パン・パーティーたのしそうだなー、と思いながら再び本棚に目をやるとけっこうクッキングの本もあることに気がついた。パンの本もある。
「パン・パーティーもそうですけど、友達もっと呼びたいので、次引っ越す時はもうちょっと広い部屋にしようかなー」とおっしゃる楠田さん。
パラレルワールドのぼくの部屋
恒例の「集めているものを並べてみる」は、せっかくなのでこのテーブルとその回りを使ってもらいました。
「特に集めてるものってないのですが……」とけっこう悩んだ末に展覧会のチケットや図録を並べることに。
「まだまだたくさんありますけど」とのことだったのですが、これ以上収まらないのでごく一部。
これがまた「あ、これぼくも見ました!」っていうのもが多くて。ほんと、楠田さんと話し合いそうだなー、と改めて感じた。
で、ここではっと思ったのが「もしかしてここ、ぼくの部屋だったかもしれない」ということ。
前述のようにぼくはひとりぐらいの経験がない。ときどき「ぼくがひとり暮らししたらどんなかな?」と想像することがあった。その部屋が、ここだ。
楠田さんはパラレルワールドのぼくなのではないか、と思った。そういう意味で「懐かしい」と感じたのだ、きっと。
平行世界にいるぼくの思い出の部屋。楠田さんの部屋がガーリーじゃないこともあって余計そう感じたのかもしれない。
って、なんかロマンチック(?)なこと言っちゃったけど、まあ実際にぼくがひとり暮らししたらいわゆる「汚部屋」になっていただろうな。
ぼくがもう20歳ぐらい下の世代で、女性で、きれい好きだったら、というパラレルワールドだ。それってもはや「ぼく」ではない気もするけど。特に最後の点で。
ともあれ、楠田さんの部屋を訪問した後、街を歩いているとときどき「あの窓の内側には “そうだったかもしれない自分” がいるかもしれない」と思う。
そして、ということはこの世のどこかには未来の自分の部屋も存在するのかもしれない。見てみたい。
と、なんだか不思議な感慨を持たせてくれた楠田さんの部屋でした。パン・パーティー、呼んでください!
こちらも恒例の「寝っ転がってポートレイト」。そっと本棚から文庫本を持って横たわった楠田さん。すてきー。
グッドルームのオリジナルリノベーション「TOMOS」のお部屋は、都内を中心に、毎月10~20部屋登場します。パンパーティーにもぴったり!? 無垢フローリングの居心地のよい空間を体験してみてくださいね。
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