月のつく熟語を学ぼう
昔から月の存在は身近なもので、文芸や芸術などの題材として用いられてきました。
日本語にも月のつく熟語が数多くあり、美しいものや少し切ない心情などを表現した言葉もあります。
本記事では、月のつく「二字熟語」「三字熟語」「四字熟語」に絞り、ご紹介していきます。美しく、かっこいい言葉を学んで、日本語のボキャブラリーを増やしてみませんか。
月のつく熟語《二字熟語》
月のつく熟語「佳月」
佳月は「かげつ」と読み、美しい月を表した二字熟語です。名月を表す以外にも、1年を通してめでたい月であることも表すことができます。
佳の意味は、優れている・美しい・立派などです。喜びや希望を込めて、苗字や名前に佳月とつけられていることも。
月を見て美しいと思った時、おめでたいことがあった時、愛情を込めて名付ける時、そんなめでたい節目に使える日本語です。
月のつく熟語「朧月」
朧月は「おぼろづき」と読み、春の夜空に浮かぶ月が、ぼんやりと見える様を表現した二字熟語です。
春の季語でもあり、他の季節で似たような現象があっても、朧月とは呼びません。秋の場合は薄月が季語とされています。
はっきりと見える月も綺麗ですが、かすかに見える月も風情があり美しいものですね。
月のつく熟語「幻月」
幻月は「げんげつ」と読み、月の両サイドに別の月が見える様を表した日本語です。
雲の中にある氷晶が、条件を満たすと地面と水平に浮かび、その氷晶に光が屈折することによりできる暈の一種とされています。
主に冬に見られることが多く、条件が合えば幻想的な光景を見ることができるでしょう。
また、太陽にも似た事象が見ることができ、これを幻日といいます。
月のつく熟語「心月」
心月は「しんげつ」と読み、美しい月のように心が澄みきっている様を表現した日本語です。仏語でもあり、悟りを開いた心として表現されています。
困難や喜びなど、様々な経験をしたのち得る心月。悟りを開くのは並大抵のことではありません。
しかし、一呼吸おいて心月で辺りを見渡すと、それまで気にしていなかった物事に気がづけるかもしれませんね。
月のつく熟語「霽月」
霽月は「せいげつ」と読み、雨が上がり夜空に浮かぶ月を表した二字熟語です。また、心にわだかまりがない状態を表現した言葉でもあります。
霽という言葉は、はれる、心がはれるという意味です。はれる、を使う時は「晴」という漢字を使いますよね。
晴・霽は同じ意味に感じますが、晴は空が青く澄み渡っている状態、霽は雨が上がってはれる状態だそうです。
同じような言葉でも、微妙な変化があり面白いですね。
月のつく熟語「月華」
月華は「げっか」と読み、月あかりを表しています。また、言葉の通り、月と花を表す言葉としても使用可能です。
日々忙しく、なかなか月華を見る機会が少なくなった方もいるのではないでしょうか。
少し疲れを感じた日には、窓辺からそっと月華を眺める時間を作ってもいいかもしれません。
先人が美しいと感じた月華を、現代でも美しいと感じていたいですね。
月のつく熟語「月虹」
月虹は「げっこう」と読み、夜に出る虹をさした日本語です。昼間に見える虹よりも、白く見えるため、別名「白虹」とも呼びます。
現象の条件は、昼間の虹と同じですが、光が弱く肉眼では色を識別しにくいそうです。
どうやらスピリチュアル的な意味では、この月虹を見られると幸運などの意味があるそうですよ。
意外にも月虹は頻繁に見られるそうなので、観察してみるといいかもしれません。
月のつく熟語《三字熟語》
月のつく熟語「雪月花」
雪月花は「せつげっか」と読み、季節ごとの美しい風景を眺める様を表した日本語です。読みの通り、雪=冬・月=秋・花=春を表現しています。
文芸や芸術、音楽といった作品に使われることがあるので、言葉だけは知っているという方もいるかもしれません。
また、日本三景や日本三名園も雪月花で例えられています。
月のつく熟語「黄昏月」
黄昏月は「たそがれづき」と読み、読みの通り、黄昏時に見える月を表した日本語です。陰暦の3日~4日辺りに見られる月をさします。
黄昏は、まだ暗くなる前の西の空にほんのり赤みが残る時間帯です。
すぐに過ぎ去ってしまう黄昏時に見える月。その光景を楽しめる、束の間の時間を大切にしたいですね。
月のつく熟語「暁月夜」
暁月夜は「あかつきづくよ」と読み、夜明けの月を表す言葉です。または、月が明け方になっても出ている空の状態をさします。
文芸でもよく使われる日本語で、有名なのは樋口一葉の作品ではないでしょうか。
万葉集や源氏物語の一節にも登場します。昔から身近であった暁月夜。1日が始める時、ふと空を見上げるとそこには暁月夜があるかもしれません。
月のつく熟語「月星日」
月星日は「つきほしひ」と読み、月と星と太陽の3つの光を表した三字熟語です。また、鶯のさえずりを表した日本語でもあります。
鶯品定めの会で、鳴き声の一節を3つに分け、節回しなどがバランスのいい鳴き声であれば優鳥とされていたそうです。
ただ、実際に「つきほしひ」と鳴くことはありません。
「つきほしひ」と鳴くのはサンコウチョウといわれる鳥で、豆知識として覚えておいてもいいかもしれません。
月のつく熟語「月季花」
月季花は「げっきか」と読む、中国原産の植物です。日本語では、庚申薔薇と書き、「こうしんばら」と読みます。
綺麗なピンクや赤の花を咲かせ、見ているだけでも楽しめるでしょう。
しかも、その花や実は漢方薬や中国茶などにも使われており、生理不順や冷え性などに効果があると言われています。
見ても飲んでも癒される、美しい植物です。
月のつく熟語「閑日月」
閑日月は「かんじつげつ」と読み、心にゆとりがあり、のんびりと過ごす時間を表した三字熟語です。
ただ、暇な状態を表す言葉でもあるので、使う際は気をつけて使った方がいいでしょう。
しかし、長い人生のうちで閑日月があってもいいのではないでしょうか。
心や身体を休めるという意味でも、「ちょっと疲れちゃったな」と感じたら閑日月を作ってもいいかもしれません。
月のつく熟語「神無月」
神無月は「かんなづき」と読み、旧暦の10月をさす三字熟語です。
10月になると、全国の神様が会議のために出雲にいき、出雲以外に神様が居なくなるという説があります。
逆に、出雲では神在月というそうです。しかし、実際の所、神無月の語源はわかっていないと言われています。
3文字の中に神が使われていたり、どういった関連があるんだろう?と考えるのは面白いですね。
月のつく熟語《四字熟語》
月のつく熟語「落月屋梁」
落月屋梁は「らくげつおうりょう」と読み、友を心配し、想う様を表した言葉です。
屋梁は屋根や屋根を支えている梁、落月は月が沈んでいく様子を表しています。
中国の詩人である杜甫が、南方へ流された友である李白を想いながら詠んだ詩です。
切ない詩ですが、心から友を想う気持ちは美しさを感じますね。
月のつく熟語「鏡花水月」
鏡花水月は「きょうかすいげつ」と読み、幻想を表現した言葉です。
鏡に映った花や、水面に浮かぶ月の美しさは感じ取れますが、言葉にできない様を表す日本語でもあります。
その絶妙な味わいを表す言葉であることから、芸術などに触れた際の感想に用いられることが多いです。
芸術や文芸などに触れた際には、比喩として用いてみてはいかがでしょうか。
月のつく熟語「松風水月」
松風水月は「しょうふうすいげつ」と読み、清らかな人柄を表現した日本語です。
松風は、爽やかな風が松に吹き、水面に映った月のように澄みきっている情景からきています。
例えば、落ち着きがあり他者を思いやれるような、付き合っていて気持ちのいい人はいませんか。
そういった高潔な人こそ、松風水月といえるでしょう。
月のつく熟語「風月無辺」
風月無辺は「ふうげつむへん」と読み、非常に美しい自然の風景を表現した四字熟語です。
風月は自然を表し、無辺はどこまでも広がる様を表しています。
また、美しい自然を表す四字熟語は「花鳥風月」や「風花雪月」などもあるので、場面ごとに使い分けるといいでしょう。
広大なる自然を見て、美しいと感じた際に用いてみてくださいね。
月のつく熟語「皓月千里」
皓月千里は「こうげつせんり」と読み、月の光が長く長く遠くの道まで照らしている様を表した四字熟語です。皎月千里とも書きます。
皓月は白く冴えた月を表し、千里は長い道という意味です。
皓月千里の夜、街並みを照らしている月を見上げながら、ベランダで優雅なひと時を過ごしてもいいかもしれませんね。
月のつく熟語「愛月撤灯」
愛月撤灯は「あいげつてっとう」と読み、ある対象に非常に強い愛情を示す様を表した四字熟語です。
愛月撤灯の4文字からもわかるように、愛月は月を愛している様、撤灯は点けている明かりを撤去させる様子を表しています。
この様子は、詩人である蘇テイの出来事からきているのだとか。使いどころは見極めた方がいいでしょう。
月のつく熟語「吟風弄月」
吟風弄月は「ぎんぷうろうげつ」と読み、自然の風景を見て詩歌を作ることを表した言葉です。
吟風は風に吹かれながら詩歌を吟じ、月を眺めながら楽しんでいる様子を表現しています。
月以外にも自然全体を題材にできるので、詩は詠まないという方も、1つの趣味としてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
月のつく熟語を学ぼう まとめ
2文字~4文字の熟語をそれぞれご紹介しましたが、初めて知る日本語はありましたでしょうか。
ここではご紹介できなかった日本語も、まだまだあります。ご紹介した月のつく熟語は、人間の心をうまく捉えた表現が多いように感じますね。
日常会話や手紙、メールなど、少しアクセントをつけたい時に本記事を是非ご活用ください。
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