結婚前にまずは同棲をしてみよう。といった話が出てくることもあるでしょう。
今まで何気なく彼女、あるいは彼氏の家に入り浸っていたのだから、それが既に同棲では?と思う方もいるかもしれません。ですが、実は厳密に言うと違うのです。
では、同棲の定義やメリットデメリットなど、同棲について知っておきたい知識をご紹介します。
同棲の定義とは?
そもそも、同棲と一口にいってもどこからが同棲と言えるのでしょうか。色々な意見がありますが、同棲とは「住民票をうつすこと」と言えます。二人の生活拠点はここである、と役所にも正式に届けるわけですね。そのため双方の家族にも説明をするという行程も必要不可欠となってきます。
それ以外の同棲はだいたい半同棲と定義できます。半同棲は家族に説明も不要ですし、気軽に始めて嫌になればすぐにやめることができます。万が一破局してしまった場合も撤収は簡単ですよね。半同棲はどちらか一方の生活拠点に入り浸りとなり、なんとなく始まるケースも少なくないようです。
このようにきちんとした同棲というのは色々な手続きを踏まなければならないため、大体の場合は結婚を前提に期間限定で行うもの、という認識が強いようです。ここからは半同棲ではなく、きちんとした同棲についての話になります。
同棲と結婚の違いは?
同棲と結婚の違いは「婚姻届が提出されているかどうか」の一点につきます。たった一枚の紙切れである婚姻届ですが、法的には絶大な効果があります。
まず一つ目ですが、結婚すると浮気などの不貞が許されなくなります。といってもする人はしてしまい、裁判所や弁護士のお世話になることはよく聞く話ですよね。どういうことかというと、「不貞を働いた人から不利益を被ったと訴える権利」を手に入れられるということです。
二つ目に、結婚すると同居・扶助義務が生じます。喧嘩をしてしまい「相手の顔も見たくない!」となった場合であっても、夫婦の共同生活を一方的に放棄することが出来なくなります。万が一そのような事が起こった場合は、「悪意の遺棄」と見なされ、離婚問題に発展するケースもあります。同棲の場合は単純に同棲解消となり、住民票を移す手間がある程度でとくにペナルティはありません。
三つ目は婚姻費用分担義務です。結婚したことによって生じる費用を分担しなければならないということです。具体的には、双方共働きの場合であっても、収入が多い方の配偶者は夫婦の共同生活にかかる費用を多く負担する義務があります。同棲の場合は特に法的な規定はないため、双方の話し合いにより決定されることが多いようです。
四つ目は、日常家事債務の連帯責任が生じます。ここで指す日常の家事とは「夫婦がそれぞれの共同生活を営む上に置いて、通常必要な債務」のことです。また義務の他にも権利も発生します。相手が死んでしまったり、離婚したときに発生する権利で、主にお金のことですね。同棲の場合はもちろんそういった権利は発生しません。
総合すると、結婚は相手の人生にも責任を持ち、2人で健やかに暮らしていくための法的拘束力を持つということです。それに対して同棲は、法的拘束力がないため責任を負わなくていい反面、何かあっても法律は守ってくれません。
結婚前同棲のメリットは?
同棲は法律に守ってもらえないのであれば、同棲をするメリットはないのでは?と思う方もいるかもしれません。ですが、そんなことはないのです。
結婚前に同棲をするメリットは、新婚生活の予行練習が出来るというのが最も大きいメリットとなるのではないでしょうか。同棲をせずにいざ結婚し共同生活に入ると、どうしても理想と現実のギャップが出てきてしまいます。
日常生活の些細な面から、相手の見たくなかった面が見えてしまったり、逆に些細なことでも感謝をしたりされたり、と単なる恋人同士では見えなかった面が見えてくるでしょう。それらの新しく知った相手の一面に対してどう行動するのか、という選択肢が生まれてくるのです。
結婚していたら、お別れという選択肢は非常に労力がいる物になってしまいます。戸籍もバツがついてしまいますよね。昨今はそういうことを気にしないという方もいらっしゃいますが、やはり戸籍はきれいなままの方がいいですよね。
結婚前の同棲は相手の新しい面を受け入れる準備期間と思って、やってみるメリットはあるでしょう。
結婚前同棲のデメリットは?
法的拘束力がない、というデメリットは先に紹介したとおりです。その他にも実は「婚期を逃しやすい」というデメリットがあります。
どういうことかというと、同棲は結婚と違い法的拘束力がなく、結婚したら発生する互いの親戚とのつきあいなどもありません。けれど、生活費はおおよそ半分になり、一緒に暮らすための労力も半分にできますよね。そういった生活に慣れてしまい「結婚するための理由」が見当たらなくなってしまうのです。
法的拘束力は「何かが起きた」という非常事態にその効力を発揮することがほとんどです。つまり、平穏な同棲生活を送っていると「このままの方が義務とか難しいこと考えなくてもいいし楽だな」となってしまいます。
これらのデメリットの被害を最小限にするためには、結婚前の同棲はあらかじめ期限を決めておく方がスムーズに結婚へと移行できるでしょう。
具体的に決めるべき5つの同棲ルール
1.生活費の分担
これは一緒に暮らしていく上で当然のことですよね。結婚するまではお互いの生活費はお互いが管理するのか、それとも結婚後の予行演習としてお財布を一つにまとめてしまうのか、など考えることはかなり多いです。これらの事は一度こじれると大変なことになるので、同棲を始める際にはきちんと決めておきましょう。
正直言って2人で暮らすからなんでもかんでも出費は半減というわけではありません。例えば家賃であれば2人で過ごすのだから半分になると思いきや、それぞれのプライベートルームを持つことを考えると、だいたいひとり暮らしの頃より少しだけ下がる出費になり、半額とまではいかないことが多いようです。
逆に食費はうまくやりくりすれば半減も夢ではない出費項目です。1人分の材料を購入するよりも材料が無駄にならないのがその理由としてあげられます。もちろんこれは自炊をした場合で、外食がメインであるならば、単順に2倍になってしまいます。一番差が激しいのが食費かもしれませんね。
水道代や光熱費は1人でも2人でもそこまで差がでる項目ではありません。気持ち2人の方が高くなりますが、それを半分にするのであれば充分安くなったと言えるでしょう。これらの出費をすべて等分にするのか、それとも将来結婚することを考えて収入が多い方がより多く出費するのかでだいぶ違ってきます。
また、2人で暮らすとどのくらいの出費になるのかを計算するために、わざと最初から決めない、という方法もあります。2人で払うべき共同費用をきちんと記録にとっておき、収入と照らし合わせて分担を決められるので、長期的に同棲する場合はおすすめです。
また、結婚するための同棲なのですから、将来結婚するための結婚資金や出産、マイホームのための貯金などもそれぞれきちんと話し合っておく必要があります。1人暮らしの時よりは出費が減るはずなので、きちんと目標金額を設定しておくと身が引き締まります。
2.家事の分担
一部の人は「家事は女性の仕事である」と思い込んでいる場合があります。なので、家事分担もきちんと話し合いをしておかないと、女性が全てをやることになってしまうかもしれません。専業主婦として家庭内を守るのであればそれもアリかもしれませんが、同棲の場合はそうでない場合が多いでしょう。お互い仕事や学業がある身、自分のことは自分でするのが当然です。とはいえ、結婚を意識するような年齢であれば、仕事を手抜きすることは社会的に許されません。ある程度残業になってしまったり、家事が疎かになってしまうこともあるでしょう。こうした部分も考慮した分担をしたいものですよね。
理想としては全ての家事をどちらもある程度こなせることです。そうでないと、どちらか一方が体調不良になったときに、とある家事が全くできず、食事が全てファーストフードやカップ麺になってしまったり、2人で住む場所が汚部屋になったりと生活が破綻してしまいます。ですが、人間には得意不得意がどうしてもありますよね。例えば、重いゴミを持って遠いゴミステーションまで運ぶのは女性にとっては結構な負担です。また、調理実習でしか料理をしたことのない人にいきなり食費を預けるのはちょっと難しいですよね。得意不得意を考慮した上で分担するのが一番良いのではないでしょうか。こういった様々な事情がありますので、できれば「平常時の家事はこう」、「非常時の家事はこう」など色々なパターンの分担を話し合っておくと、いざというときにとても助かります。
また、あえてきっちり分担しないフリースタイルという方法もあります。きっちり分けてしまうとそれがプレッシャーとなり、体調が悪くても頑張ってしまったり、相手が分担を守ってくれないと責める気持ちが生まれてしまうなどのデメリットがあるからです。ただし、この方法はお互いが「全ての家事を自分でやる」くらいの気概がないと難しいのも事実です。どうしても相手に甘える心が出てきてしまうからです
色々な分担方法がありますが、それぞれのカップルに合ったやり方で納得できる分担方法を模索しましょう。
3.子どもはいる?いらない?
ここは非常にデリケートな問題ですよね。ですが、結婚を視野にいれているのであれば、自分の気持ちを正直に告げるべきでしょう。特に片方が子どもを熱望しているのに、もう片方が実は子どもはいらない派であったり、そもそも子どもを望めないケースも少なくありません。出来るのであれば、同棲前に話し合っておくべき問題の一つです。
この問題は一番根源的な問題であるため、話し合いで折り合いがつかないことも少なくありません。結局、別れにつながってしまうこともやむなしと言えるでしょう。逆にこの問題で価値観の相違を抱えながらも同棲・結婚に踏み切ってしまった場合は、最悪泥沼の離婚劇に発展する可能性すらあるのです。
4.生活習慣の違いについて
意外と忘れがちなのがこの項目です。朝はパン派?ごはん派?それとも食べない派?などの些細なことですが、毎日のことであるが故にお互いの生活習慣には相応の理解を示さないと、結婚はできません。ごはんは一緒に食べるのか、朝シャン派2人が生活をした場合どちらが先にお風呂を使うのか、などあげればキリがありません。
結局、相手は育ってきた環境が全く違う赤の他人であるということをしっかり自覚しないといけません。その上で、双方が納得できる細々としたルールを2人で確認し、より快適な生活ができるように努力するべきです。
5.親の介護は決めてる?
最後にあまり直視したくない問題である、親の介護についてです。特に男性はナチュラルに「自分の親の介護は嫁になる人がしてくれるもの」と思い込んでいるケースも少なくないため、その辺りの確認は慎重にしましょう。
よくある熟年離婚の原因の一つに「親の介護問題」があります。男性側は当然のように嫁が介護をしてくれると思っていたのに、いざ頼んでみると「自分の仕事のキャリアを捨てたくないから介護するのは無理」といって離婚してしまうケースですね。どちらが悪いという問題ではなく、強いて言うなら今まで全くそういった話し合いをしてこなかった夫婦の当然の結末と言うことも出来るでしょう。
昨今の日本は「超高齢化社会」や「老老介護」などの言葉が飛び交っています。どんな人にも親はいますので、避けて通れる問題ではありません。特にビジョンが決まってないのであれば、相応の貯金をするなどの案を考えておきましょう。あまり良い話題ではないため、避けたがる人もいるかとは思いますが、万が一に備えてきちんと決めておいた方が後々楽になります。
介護というと老いた時のことを考えてしまいますが、不慮の事故によるものもありますので、その辺りも含めてしっかりと話し合いをしてほしい事柄です。
まとめ
同棲に関するあれこれについてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
全ての事に共通するのは、これから共に人生を歩んでいくパートナーと、きちんと意見の擦り合わせをするべき、ということでしょうか。
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